住まいの保険
長い月日をかけて貯金し、何千万円も出して購入したマイホーム、火事や自然災害、あるいはトラックが突っ込んで崩壊、失ってしまうこともあり得ます。
ローンが残っている場合は最悪です。その場合、ローンは払い続けなければなりません。さらには定年を過ぎてから、地震などで家を失ったとあってはもう考えたくもない事態です。
しかし、実際、阪神大震災、昨今の集中豪雨などの自然災害の多さを考えると、一度火災保険について知っておいて損はありません。
火災保険のしくみ
家が火事になったり、車が突っ込んだり、自然災害などで崩壊したときに補償してくれる保険を火災保険と言います。そして以下の3つに大別されます。
- 住宅火災保険
- 住宅総合保険
- 団地保険
住宅火災保険 | ベーシックな補償 |
---|---|
住宅総合保険 | 住宅を取り巻くさまざまなリスクを総合的に補償 |
団地保険 | 団地やマンション、アパートなど共同住宅のリスクを補償 |
補償の範囲
住宅火災保険 | 住宅総合保険 | 団地保険 | |
火災 | ○ | ○ | ○ |
落雷 | ○ | ○ | ○ |
ガス爆発などの 破裂・爆発 |
○ | ○ | ○ |
風災・ひょう災・ 雪災 |
△※ |
△※ | △※ |
水災 | × | △※ | × |
自動車の飛込み等による飛来・落下・衝突 | × | ○ | ○ |
給排水設備の事故等による水濡れ | × | ○ | ○ |
騒じょう※等による 暴行・破壊 |
× | ○ | ○ |
盗難 | × | ○ | ○ |
※△:一部自己負担額がある場合もあります。
※騒じょうとは:集団行動に伴う暴力や破壊行為のこと。保険の約款上の用語。
契約金額の設定方法 ~再調達価額と時価~
火災保険の契約金額を設定するには、再調達価額※をもとに設定する方法と、時価※をもとに設定する方法があります。
また、「時価」で契約するときは、契約金額を時価いっぱいに設定しておくことが基本になります。時価を下回って契約した場合は、損害額の全額が補償されない場合もあります。
※再調達価額:建築後何年経っても、今現在と同じ広さ、同じ構造の建物を建築するときの価格をいう。
※時価:再調達価額から、年月経過や使用による消耗分(価値が下がった分)を差し引いた金額(時価 = 再調達価額
- 消耗分)
再調達価額の算出方法
新築の場合:新築の建築価額がそのまま評価額になります。(建築費用の消費税も含みます。ただし土地代や登録諸費用などは除きます。)
新築で無い場合
建築年月日、建築価額が証明できる場合・・・年次別指数法で算出
建築年月日、建築価額が証明できない場合・・・新築費単価法で産出
年次別指数法
再調達価額 = 建築価額 × 建築費倍率※
※建築費倍率は各保険会社が用意している基準を使用します。基準は各保険会社により異なります。
新築費単価法
新築費単価法とは、評価をする建物と同様の建物の標準単価に建物の延床面積をかけて再調達価額を計算する方法です。
再調達価額 = 新築費単価※ × 延床面積 + 付属建物(門・へい・車庫・物置など) + 実態による調整※
※新築費単価は各保険会社の基準を使用します。基準は保険会社により異なります。新築費単価は同じ構造級別でも主要構造物の建築材料、建物の所在地によって異なる場合があります。
※実態による調整は、新築費単価が建物の実態に則していない場合に±30%の範囲で調整します。
「再調達価額」および「時価」で契約した場合の保険金支払の比較
例えば、2,000万円で新築、10年後火災により全焼。10年分の消耗分600万円とします。
再調達価額(同程度の物を立て直す費用)で契約の場合
2,000万円が支払われます。
時価で契約の場合
時価 = 再調達価額 - 消耗分
時価(全焼時) = 2,000万円 - 600万円(10年分の消耗分)で1,400万円が支払われます。
火災保険の注意すべき点1 ~火災保険では、建物と家財を分けて契約~
火災保険では、建物と家財を分けて契約することになっています。
建物は契約したが、家財は契約しなかったというミスもありますから、ご注意ください。
火災保険の注意すべき点2 ~家財を契約する場合の注意点~
家財を契約するとき、高額な貴金属や美術品などは保険会社に知らせてください。そうしないと保険金が支払われない場合もあります。
火災保険の注意すべき点3 ~マンションの火災保険の落とし穴~
マンション購入時の火災保険契約は購入価格、つまり上記でご説明した再調達価額での契約はできません。
マンション購入価格には「土地価格」と「建物価格」が含まれており、建物価格もさらに「共有部分」と「専有部分」に分けられます。
加入できる契約保険金額、つまり再調達価額の上限は建物価格の専有部分の価格までです。
一般的に建物価格の40%(専有部分価格割合)程度です。従って、共有部分には、購入後のマンション管理組合に入り、火災保険に皆で入ることを決め、組合規約などに明記し、組合が徴収した管理費の中から火災保険契約を結ばなければなりません。
具体的にご説明すると、
- 住所:さいたま市
- 構造:鉄筋コンクリート10階建て
- 床面積:100㎡
- 建物価格:2000万円
- 土地価格:3000万円
- 合計(購入価格):5000万円
一般的な再調達保険金
=100㎡×10万円(各保険会社が定めるさいたま市再調達基準価額/㎡)
=1000万円
しかし、保険金額は
保険金=2000万円×40%=800万円ですから、
1000万円で契約できず、800万円が上限ということになります。
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